国内動向

大阪府が最大1,000万円の補助金を開始|ステーブルコイン・ブロックチェーン実証実験を支援

大阪府が最大1,000万円の補助金を開始

2026年7月1日、大阪府はブロックチェーンやAIなどの革新的な技術を用いた金融実証実験を支援する「先駆的金融市場等形成支援事業補助金」の公募を開始しました。

現在、日本国内ではSBIグループによる国内初の信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」の提供が始まるなど、デジタル通貨の社会実装が進んでいます。今回の大阪府の動きは、「国際金融都市・大阪」の実現に向け、地域企業による次世代決済インフラの実証実験や導入を後押しする取り組みとして注目されています。

本記事では、開始されたばかりの大阪府の補助金制度の概要と、なぜ企業がいまステーブルコインなどのブロックチェーン決済の実証実験に取り組むべきなのか、ニュース解説としてお届けします。

この記事のポイント

大阪府がブロックチェーンやAIを活用した金融実証実験向け補助金の公募を開始
補助上限は1,000万円、補助率は2分の1以内
フィンテック事業者だけでなく、フィンテック事業者と連携して実証実験を行う法人・個人も対象
ステーブルコインを活用した決済・業務DXの実証実験にも活用できる可能性がある

「大阪府先駆的金融市場等形成支援事業補助金」の概要

まずは、今回発表された大阪府の補助金制度の要点を整理します。

項目 詳細内容
公募期間 2026年7月1日(水)〜 7月31日(金)18:00まで
補助金額 1件あたり上限 1,000万円
補助率 対象経費の 2分の1以内
対象事業 ブロックチェーンやAI等を用いた新たな金融サービスの実装に向けた大阪府内での実証実験
実施期間 交付決定日 〜 2027年3月31日まで

注目ポイント

支援対象には、フィンテック事業者だけでなく、フィンテック事業者と連携して実証実験を行う法人や個人も含まれます。実験終了後に大阪府内で事業を展開する具体的な計画があることが条件となっています。


なぜ今「ステーブルコイン」の実証実験なのか?

今回の補助金において、最も有力なテーマの一つとなるのが「ステーブルコイン(日本円連動型デジタル通貨)」を活用した決済・業務効率化の実証実験です。

2026年6月、SBI新生信託銀行が国内初となる信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」の発行に踏み切りました。JPYSCは信託型、JPYCは資金移動業型という制度上の違いがあります。信託型ステーブルコインの登場により、企業間(BtoB)の大口決済にもブロックチェーンを活用できる環境が整いつつあります。

補助金を活用した実証実験(PoC)のイメージ

一般企業がこの大阪府の補助金(上限1,000万円)を活用する場合、以下のような実証実験が想定されます。

サプライチェーン決済の自動化

スマートコントラクトを使い、商品の納品と同時にステーブルコインで即時自動支払いを行うシステム検証。

社内・グループ内決済のデジタル化

24時間365日の送金や資金移動の効率化を目的とした決済インフラの実証。

地域経済圏・ファンコミュニティ活用

店舗やイベントなどでステーブルコイン決済を活用する実証実験。


企業が直面する「ブロックチェーン実務」の壁

「メガバンクや大手企業のインフラが完全に整ってから導入すればいい」と考えるのはリスクがあります。ステーブルコインやブロックチェーン決済の導入では、従来の銀行振込にはない新たな実務や運用ルールへの対応が必要になります。

ウォレット管理とセキュリティ

法人の資産として「秘密鍵」を誰がどう管理するのか、社内承認フローをどうするか。

ガス代(手数料)の処理

送金の都度発生するガス代(暗号資産)の経理仕訳や税務処理。

既存システムとの連携

自社の受発注システムや会計ソフト(ERP)とブロックチェーンのデータをどう連動させるか。

大阪府の補助金は、こうした「自社がデジタル通貨を扱う上での課題」を、補助金を活用してコスト負担を抑えながら検証できる貴重な機会となる可能性があります。


7月末の公募締切に向けて企業が取るべきアクション

2026年後半から2027年にかけて、3メガバンクもステーブルコインの実取引開始を予定しており、日本ではステーブルコインの社会実装に向けた取り組みが加速しており、決済インフラのデジタル化は実証実験から実用化へ向けた段階に入りつつあります。

今回の大阪府の補助金は、公募期間が2026年7月31日(金)18:00までと非常にタイトに設定されています。

「自社の決済コストを下げたい」「次世代のフィンテックビジネスを大阪から発信したい」と考えている経理・財務・DX部門にとっては、タイトなスケジュールの中で実証実験の計画を練り上げる必要があります。限られた期間で要件を具体化させるためにも、まずは信頼できるWeb3の開発パートナーやステーブルコインの運用支援事業者を見つけ、実務レベルの相談をスタートさせることが現実的なファーストステップになりそうです。

執筆者:赤松 智彦
Author

赤松 智彦

アステリア株式会社 / ステーブルコイン事業部

システム連携やデータ活用の知見から、企業の「財務DX」や「デジタル通貨のビジネス活用」をテーマに、日本円ステーブルコインの普及に向けた実務ノウハウや最新トレンドなどのお役立ち情報をお届けします。