JPYC Gatewayの「マネージドウォレット」とは?法人のステーブルコイン管理をシンプルに
企業がステーブルコインを利用する際、最初に考える必要があるのが「ウォレットをどのように管理するか」です。
一般的なブロックチェーンウォレットでは、MetaMaskなどのウォレットアプリケーションを利用し、送金時には外部アプリケーション上で署名を行う必要があります。
しかし、企業でステーブルコインを利用する場合、担当者全員がウォレットアプリケーションの操作に慣れているとは限りません。また、秘密鍵をどのように管理するのかという問題もあります。
JPYC Gatewayでは、こうした企業のウォレット運用をシンプルにするため、「マネージドウォレット」を提供しています。
目次
1. マネージドウォレットとは?
マネージドウォレットは、JPYC Gatewayのシステム上で生成・管理できるウォレットです。
JPYC Gatewayでは、自社ウォレットとして「マネージドウォレット」「Openloop」「外部ウォレット」の3種類を利用できます。
外部ウォレットの場合、JPYC Gatewayにウォレットアドレスを登録して残高や入出金履歴を確認できますが、実際に送金するときにはMetaMaskなどの外部ウォレットで署名する必要があります。
一方、マネージドウォレットでは署名処理をJPYC Gateway内で行うことができます。
そのため、送金のたびに別のウォレットアプリケーションを起動して操作する必要がありません。
JPYC Gatewayの画面から送金先や金額などを指定し、本人確認を行うことで送金できます。
2. 秘密鍵を「キーシェア」に分けて管理
ウォレットを管理するうえで重要になるのが、秘密鍵の管理です。
秘密鍵は、ブロックチェーン上の資産を動かすために必要となる重要な情報です。そのため、秘密鍵の管理方法はウォレットのセキュリティを考えるうえで重要なポイントになります。
JPYC Gatewayのマネージドウォレットでは、秘密鍵をそのまま1つの情報として保管するのではなく、複数の「キーシェア」に分割して管理します。
マネージドウォレットの生成時から、秘密鍵は「1つにまとまった鍵」として保管されるのではなく、分割された状態で生成・保管されます。
通常時には、キーシェアはユーザーのブラウザストレージと鍵管理サーバーに分散して保管されます。
送金時には、それぞれのキーシェアを利用して署名処理を行います。
つまり、JPYC Gateway側だけで一方的にウォレット内の資産を動かす仕組みではありません。
3. 送金時はPasskeyで本人確認
マネージドウォレットから送金する際には、Passkeyによる本人確認を行います。
Passkeyでは、利用している端末に応じて指紋認証、顔認証、PINなどを利用できます。
送金元・送金先・送金額などをJPYC Gateway上で指定し、「署名して送金」を実行するとPasskey認証が行われます。
認証後の署名処理はJPYC Gateway内で行われるため、MetaMaskなどの外部ウォレットへ画面を切り替えて署名する必要はありません。
なお、マネージドウォレットを送金元として利用する場合は、ガスレス送金を利用します。
これにより、利用者が送金のたびにガス代用のネイティブトークンを用意して操作する必要がありません。
4. ウォレットを復旧するための仕組みも用意
ブラウザに保存されているキーシェアを利用する仕組みでは、「PCを交換した場合はどうなるのか」「ブラウザのデータを失った場合はどうするのか」という点も重要です。
JPYC Gatewayでは、このような場合に備えて「リカバリシェア」を作成できます。
リカバリシェアを作成した場合、復旧用シェアの一方を利用者のGoogleアカウントのGoogleドライブに、もう一方をJPYC Gateway側で利用する環境に分散して保管します。
必要な場合には、これらを利用してウォレットの復旧を行うことができます。
また、マネージドウォレットには秘密鍵をエクスポートするための機能も用意されています。
秘密鍵の表示やリカバリシェアからの復元といった重要な操作は監査ログにも記録されるため、「誰が・いつ・どのウォレットの秘密鍵にアクセスしたのか」を後から確認できます。
5. 外部ウォレットとの違い
マネージドウォレットの大きな特徴は、ブロックチェーンウォレット特有の操作をJPYC Gateway側にまとめられることです。
外部ウォレットでは、次のような操作が必要になります。
マネージドウォレットの場合は、次の流れになります。
日常的にステーブルコインを扱う担当者にとって、ウォレットアプリケーションを意識する場面を減らすことができます。
6. JPYC EXなどのdAppとの連携も可能
マネージドウォレットは、JPYC EXなどのdAppとのアドレス連携にも対応しています。
通常、dAppを利用する場合はMetaMaskなどの外部ウォレットを接続するケースがありますが、JPYC Gatewayのマネージドウォレットでは、Gatewayから対応するdAppへウォレットアドレスを連携できます。
なお、現在の対応範囲は接続・アドレス連携までとなっており、送金署名などを要求するdAppには対応していません。
7. 法人のステーブルコイン利用をよりシンプルに
ステーブルコインを企業で利用する場合、単にウォレットを作成できればよいわけではありません。
- 秘密鍵をどう管理するのか
- 担当者はどのように送金するのか
- PCを紛失・交換した場合はどうするのか
- 重要な操作を後から確認できるのか
といった、実際の業務運用まで考える必要があります。
JPYC Gatewayのマネージドウォレットは、キーシェアによる分散管理、Passkeyによる本人確認、リカバリ機能などを組み合わせることで、こうした法人のウォレット運用をJPYC Gateway上で行えるようにしています。
ウォレットアプリケーションやブロックチェーン特有の操作をできるだけ意識せず、既存の業務システムに近い感覚でステーブルコインを管理できることが、マネージドウォレットの大きな特徴です。
赤松 智彦
アステリア株式会社 / ステーブルコイン事業部
システム連携やデータ活用の知見から、企業の「財務DX」や「デジタル通貨のビジネス活用」をテーマに、日本円ステーブルコインの普及に向けた実務ノウハウや最新トレンドなどのお役立ち情報をお届けします。