ウォレットアドレスをQRで共有。JPYC Gatewayの「入金QRコード」とは?
ステーブルコインを受け取る際、通常は送金相手にウォレットアドレスを伝える必要があります。
しかし、ブロックチェーンのウォレットアドレスは長い文字列で構成されています。送金する側がアドレスをコピーしてウォレットアプリに貼り付け、さらに送金金額を入力するとなると、毎回一定の操作が必要です。
特に店舗での支払いや請求書に対する入金など、ステーブルコインを決済手段として利用する場合には、できるだけ簡単に送金できる仕組みが求められます。
JPYC Gatewayでは、ウォレットアドレスをQRコードとして発行できる「入金QRコード」機能を利用できます。
目次
1. 入金QRコードとは?
入金QRコードは、自社ウォレットに入金してもらうための情報をQRコードとして相手に共有する機能です。
JPYC Gatewayに登録されている自社ウォレットからQRコードを生成し、送金する相手に読み取ってもらうことで、ウォレットアドレスなどの情報を簡単に伝えられます。
QRコードを生成する際には、対象となるチェーンを選択します。さらに、送金金額を指定するかどうかも選択できます。
JPYC Gatewayでは、「アドレスのみのQR」と「アドレス+金額のQR」の2種類を利用できます。
2. ① アドレスのみのQR
金額を指定せずにQRコードを作成すると、ウォレットアドレスとチェーン情報を含むQRコードが生成されます。
送金者が対応するウォレットアプリでQRコードを読み取ると、送金先の情報を利用して送金操作を進めることができます。送金金額は送金者自身が入力します。
例えば、次のような場合に利用できます。
- 任意の金額を受け取りたい場合
- 取引ごとに金額が変わる場合
- ウォレットアドレスを簡単に共有したい場合
毎回長いウォレットアドレスをコピーして相手に送る必要がなくなります。
3. ② 金額を指定したQR
JPYC Gatewayでは、金額を入力してQRコードを生成することもできます。
この場合、QRコードにはウォレットアドレスとチェーンに加えて、送金金額の情報も含まれます。
対応するウォレットアプリでQRコードを読み取ると、指定された金額があらかじめ入力された状態で送金画面を表示できます。
例えば、10,000円相当のJPYCを請求する場合、送金先アドレス、利用するチェーン、10,000という金額を含んだQRコードを生成できます。
送金者がQRコードを読み取ってから、改めて金額を入力する手間を減らせます。
商品代金やサービス利用料など、あらかじめ請求金額が決まっている取引で活用しやすい機能です。
4. 請求書やメールにもQRコードを掲載可能
生成したQRコードは、JPYC Gatewayの画面上で表示するだけではありません。
QR画像をコピーして、請求書、メール、案内資料、店頭掲示などに利用できます。
例えば、取引先へ送付する請求書に入金QRコードを掲載しておけば、相手はウォレットアドレスをコピーする代わりにQRコードから送金操作を開始できます。
店頭でステーブルコイン決済を受け付ける場合にも、QRコードを掲示して利用することができます。
ステーブルコインでの受け取りを、一般的なQR決済に近い操作感へ近づけるための機能です。
5. QRコードにはEIP-681形式を採用
JPYC Gatewayで生成される入金QRコードには、EIP-681形式のURIが利用されています。
QRコード生成後には、QR画像だけでなくURIそのものをコピーすることもできます。
EIP-681に対応したウォレットアプリで読み取ることで、QRコードに含まれる送金先などの情報を利用できます。
金額を指定したQRの場合は、対応するウォレットアプリであれば指定金額を送金画面に反映できます。
なお、EIP-681に対応していないウォレットアプリでは、QRコードを読み取っても送金画面が正しく表示されない場合があります。
6. QRコードのアドレスにはプライマリアドレスを利用
JPYC Gatewayでは、1つの自社ウォレットに複数のアドレスを登録することができます。
入金QRコードを生成した場合、QRコードにはそのウォレットに設定されているプライマリアドレスが使用されます。
そのため、複数のアドレスを使い分けている場合には、どのアドレスをプライマリアドレスとして設定するかも運用上のポイントになります。
用途や管理方針に応じてアドレスを使い分けながら、入金用のアドレスをQRコードとして共有することができます。
7. 送金者側がガス代を負担
入金QRコードを利用した送金では、送金者側がブロックチェーンのガス代を負担します。
つまり、QRコードは「送金先や金額を簡単に伝える機能」であり、QRコードを利用しただけでガスレスになるわけではありません。
送金者にガス代を負担させたくない場合には、JPYC Gatewayの「ガスレス入金」機能を利用する方法があります。
入金QRコードとガスレス入金は異なる機能のため、用途に応じて使い分けることができます。
8. 例えば「請求書払い」で使う場合
入金QRコードの活用例として、企業間取引の請求を考えてみます。
通常であれば、請求書に「このウォレットアドレスへ10,000 JPYCを送金してください」と記載し、送金者がアドレスと金額をウォレットに入力する必要があります。
JPYC Gatewayで金額指定QRを生成すれば、請求金額:10,000 JPYC、送金先:自社ウォレット、利用チェーン:指定チェーンといった情報をQRコードに含めることができます。
請求書にそのQRコードを掲載しておけば、相手はQRコードを読み取り、内容を確認して送金するという流れになります。
ウォレットアドレスや金額を毎回入力する操作を減らせるため、ステーブルコインを実際の支払い業務へ組み込みやすくなります。
9. 「送金する」だけでなく「受け取る」業務もシンプルに
企業でステーブルコインを利用する場合、送金管理だけではなく「どのように受け取るか」も重要です。
- ウォレットアドレスを毎回コピーして共有する
- 相手に送金金額を入力してもらう
- 利用するチェーンを伝える
こうした作業が必要になると、利用件数が増えるほど運用負荷も大きくなります。
JPYC Gatewayの入金QRコードでは、ウォレットアドレスやチェーン、必要に応じて金額までQRコードにまとめることができます。
請求書、メール、店頭などさまざまな場面でQRコードを活用することで、ステーブルコインを「受け取る」業務もよりシンプルにできます。
赤松 智彦
アステリア株式会社 / ステーブルコイン事業部
システム連携やデータ活用の知見から、企業の「財務DX」や「デジタル通貨のビジネス活用」をテーマに、日本円ステーブルコインの普及に向けた実務ノウハウや最新トレンドなどのお役立ち情報をお届けします。