担当者ごとに操作範囲を設定。JPYC Gatewayの「カスタムロール・ウォレット別権限」とは?
企業でステーブルコインを管理する場合、重要になるのが「誰が、どの操作を、どのウォレットに対して行えるのか」という権限管理です。
例えば、経理担当者には入出金履歴を確認してほしい、店舗担当者には自店舗のウォレットだけを利用させたい、管理者だけが新しいウォレットを登録できるようにしたい、一部の担当者には送金を許可したくない、といったように、担当者の役割によって必要な操作範囲は異なります。
JPYC Gatewayでは、「ロール」と「ウォレット別アクセス権限」を組み合わせることで、企業の組織や業務に合わせた権限管理を行うことができます。
目次
1. JPYC Gatewayの権限管理とは?
JPYC Gatewayの権限は、大きく2つに分かれています。
1つ目が「全体機能権限」。2つ目が「ウォレット別アクセス権限」です。
全体機能権限では、JPYC Gateway全体に対してどの機能を利用できるかを設定します。例えば、ユーザー管理、ロール管理、自社ウォレット管理、送金先ウォレット管理、未登録アドレスへの直接送金、請求情報の閲覧、監査ログの閲覧・出力、テナント設定などの操作を管理します。
一方、ウォレット別アクセス権限では、「どのウォレットに対して何ができるか」を設定します。
この2つを組み合わせることで、単純に「管理者」「一般ユーザー」と分けるだけではない、より細かな権限管理が可能になります。
2. カスタムロールとは?
企業によって、ユーザーに任せたい業務は異なります。
例えば、「経理担当」「店舗担当」「送金担当」「監査担当」「システム管理担当」など、それぞれ必要な権限は異なります。
JPYC Gatewayでは、こうした業務に合わせてカスタムロールを作成できます。
カスタムロールを利用することで、企業独自の役割に合わせて必要な権限を組み合わせ、そのロールをユーザーに割り当てる運用ができます。
例えば「経理担当」というロールを用意し、経理業務に必要な機能だけを利用できるようにする、といった設計が可能です。
ユーザー一人ひとりに毎回個別設定するのではなく、役割をロールとして定義しておくことで、複数ユーザーの権限を整理しやすくなります。
3. 「何ができるか」を全体機能権限で管理
全体機能権限では、JPYC Gatewayの管理機能に対するアクセスを制御します。
例えば、店舗スタッフがステーブルコインを利用する場合でも、ユーザー管理やロール管理まで操作できる必要はありません。
一方、システム管理者であれば、ユーザーの追加・削除、ロールの設定、ウォレットの追加・削除などを行う必要がある場合があります。
そこで、それぞれの役割に応じて利用できる機能を分けます。
必要な担当者に必要な操作だけを許可することで、権限を持つユーザーを限定した運用が可能になります。
4. 「どのウォレットを使えるか」をウォレット別に設定
法人で複数のウォレットを管理する場合、機能単位の権限だけでは十分ではない場合があります。
例えば、東京店舗と大阪店舗がそれぞれウォレットを持っている場合を考えてみます。東京店舗の担当者が大阪店舗のウォレットまで操作できる必要はありません。
JPYC Gatewayでは、ウォレット別アクセス権限によって、個々のウォレットに対する操作範囲を設定できます。
ウォレットごとに、送金元として利用できるか、送金先として利用できるか、履歴を参照できるか、入金通知の対象にするかなどを設定できます。
そのため、「JPYC Gatewayにはログインできるが、担当外のウォレットは操作できない」といった運用を設計できます。
5. ウォレットグループ単位でも権限を設定
ウォレット数が増えてくると、1つずつ権限を設定するのは管理負荷につながります。
そこで利用できるのがウォレットグループです。
例えば、「東京店舗」「大阪店舗」「営業部」「経理部」といったグループにウォレットをまとめ、そのグループ単位で権限を設定できます。
店舗や部署ごとに複数のウォレットを管理している場合でも、グループ単位で権限を整理できます。
組織構造とウォレット管理を対応させやすいことも、JPYC Gatewayの権限設計の特徴です。
6. 個別ウォレットの設定を優先できる
JPYC Gatewayのウォレット別アクセス権限には、3段階の適用ルールがあります。
優先順位は、個別ウォレット → ウォレットグループ → ウォレットタイプ全体です。
例えば、「東京店舗グループ」のすべてのウォレットを利用できる権限を設定している場合でも、特定のウォレットだけ異なる設定を行うことができます。
個別ウォレットに権限が設定されていれば、その設定が優先されます。個別設定がない場合はグループ設定、グループ設定もない場合は「すべての自社ウォレット」など、ウォレットタイプ全体に対する設定が適用されます。
これにより、「原則として営業部のウォレットは利用可能。ただし特定の管理用ウォレットだけは除外する」といった運用にも対応しやすくなります。
7. 例えば「店舗担当者」のロールを作る場合
全国に複数店舗を展開している企業を例に考えてみます。
東京店舗には、東京店舗Aウォレット、東京店舗Bウォレットという2つのウォレットがあるとします。
東京店舗の担当者向けに「東京店舗担当」というカスタムロールを作成し、東京店舗グループに対して必要なウォレット別権限を設定します。
すると、その担当者には東京店舗の業務に必要なウォレットだけを利用させる、といった運用を設計できます。
一方、本社の経理担当者には、複数店舗のウォレット履歴を確認できる権限を付与することも考えられます。
ユーザーごとに個別管理するのではなく、役割 × ウォレットグループ × 操作権限という形で整理することで、利用者が増えても管理しやすくなります。
8. 「全員がすべて操作できる」状態を避ける
法人ウォレットでは、利便性だけでなく内部統制も重要です。
少人数で利用しているうちは、一つのアカウントですべてを管理した方が簡単に感じるかもしれません。
しかし、利用者やウォレットが増えるにつれて、誰がウォレットを登録できるのか、誰が送金できるのか、誰が履歴を確認できるのか、どのウォレットまで操作できるのか、といったルールを明確にする必要があります。
JPYC Gatewayでは、カスタムロールによる機能単位の権限設定と、ウォレット別アクセス権限を組み合わせることで、担当者の業務範囲に合わせたアクセス制御を行うことができます。
企業でステーブルコインを継続的に利用していくためには、「ウォレットを作る」だけでなく「誰に、どこまで操作を許可するのか」を設計することが重要です。
カスタムロールとウォレット別権限は、そのための法人向けウォレット管理機能です。
赤松 智彦
アステリア株式会社 / ステーブルコイン事業部
システム連携やデータ活用の知見から、企業の「財務DX」や「デジタル通貨のビジネス活用」をテーマに、日本円ステーブルコインの普及に向けた実務ノウハウや最新トレンドなどのお役立ち情報をお届けします。