重要なウォレット操作を本人認証。JPYC Gatewayの「Passkey」とは?
企業がステーブルコインを扱う場合、重要になるのが「誰がその操作を実行したのか」という本人確認です。
特に、ウォレットの作成や送金といった資産に関わる操作では、IDとパスワードだけでなく、より確実に操作者本人を確認できる仕組みが求められます。
JPYC Gatewayでは、マネージドウォレットに関する重要な操作で「Passkey」による本人認証を利用します。
目次
- 01.Passkeyとは?
- 02.マネージドウォレット作成時にPasskeyで本人認証
- 03.送金時の本人認証にも利用
- 04.追加アドレス作成時にもPasskey認証
- 05.Passkeyは複数登録できる
- 06.端末紛失に備えて複数登録
- 07.同期型Passkeyにも対応
- 08.登録済みPasskeyを管理
- 09.端末を紛失した場合
- 10.「権限」と「本人認証」を組み合わせる
- 11.法人のウォレット操作に本人確認を組み込む
1. Passkeyとは?
Passkeyは、端末やブラウザの認証機能を利用して本人確認を行う仕組みです。
JPYC Gatewayでは、あらかじめユーザー自身がPasskeyを登録します。
認証時には、利用している環境に応じて、次のような手段を利用できます。
- 指紋認証
- 顔認証
- PIN入力
そのため、重要な操作を実行する際に、操作者本人による認証を挟むことができます。
2. マネージドウォレット作成時にPasskeyで本人認証
JPYC Gatewayでマネージドウォレットを作成する場合、操作者本人にPasskeyが登録されている必要があります。
ウォレット管理画面からマネージドウォレットを作成すると、Passkeyによる本人認証が求められます。
認証が完了すると、ウォレットアドレスが生成されます。
つまり、ウォレットを作成できる権限を持っているだけで、そのまま作成処理が完了するわけではありません。
権限に加えて、実際の操作者によるPasskey認証を行う仕組みになっています。
3. 送金時の本人認証にも利用
Passkeyは、マネージドウォレットから送金する際にも利用されます。
マネージドウォレットでは、外部ウォレットアプリを開いて署名するのではなく、JPYC Gateway内で署名処理を行います。その際、本人確認としてPasskey認証が求められます。
つまり、次の流れで操作します。
MetaMaskなどの外部ウォレットを別途操作する必要がない一方で、重要な操作には本人認証を挟む設計です。
4. 追加アドレス作成時にもPasskey認証
JPYC Gatewayでは、1つのマネージドウォレットに複数のアドレスを紐付けることができます。
既存のマネージドウォレットへ新しいアドレスを追加する場合にも、Passkeyによる本人認証が必要です。
ウォレットそのものの作成だけではなく、ウォレットに関わる重要な変更についても本人認証を利用します。
5. Passkeyは複数登録できる
JPYC Gatewayでは、1ユーザーが複数のPasskeyを登録できます。
例えば、「業務用ノートPC」「会社支給スマートフォン」といったように、端末や認証器ごとにPasskeyを登録できます。
設定画面では、登録済みPasskeyの名前、登録日時、最終使用日時を確認できます。不要になったPasskeyは削除することもできます。
複数端末を利用する業務環境でも、それぞれの端末に合わせた運用ができます。
6. 端末紛失に備えて複数登録
1台の端末だけにPasskeyを登録している場合、その端末を紛失すると、マネージドウォレットに関するPasskey認証が必要な操作を行えなくなる可能性があります。
そのため、JPYC Gatewayのマニュアルでは、複数のPasskeyを登録しておくことが推奨されています。
例えば、普段利用するPCと予備のスマートフォンといった形で登録しておくことで、端末紛失時にも備えられます。
7. 同期型Passkeyにも対応
Passkeyの保存方法は、利用している環境によって異なります。
Google パスワード マネージャー、iCloudキーチェーン、1Passwordなどの同期型の仕組みを利用している場合は、複数の端末で同じPasskeyを利用できます。
一方、Windows Helloや端末ローカルのTouch IDなどで登録したPasskeyは、登録した端末で利用します。
自社の端末管理方針に応じて、利用方法を選択できます。
8. 登録済みPasskeyを管理
設定画面の「Passkey認証」では、現在登録しているPasskeyを一覧で確認できます。
例えば、端末を買い替えた場合や、利用しなくなった端末がある場合は、不要なPasskeyを削除できます。
また、「認証テスト」を利用して、登録したPasskeyで実際に認証できるかを確認できます。
送金などの操作を行う前に、Passkeyが正常に利用できるかを確認することもできます。
9. 端末を紛失した場合
Passkeyを登録した端末を紛失した場合は、テナント管理者による対応が可能です。
マニュアルでは、管理者が対象ユーザーを一度無効化し、再度有効化することで、登録済みPasskeyをすべて削除できるとされています。
その後、新しい端末からPasskeyを再登録します。
ユーザー管理とPasskey管理を組み合わせることで、端末紛失時の運用にも対応できます。
10. 「権限」と「本人認証」を組み合わせる
法人ウォレットでは、「操作する権限を持っていること」と「実際に本人が操作していること」は別の問題です。
JPYC Gatewayでは、ロールやウォレット別アクセス権限によって、「誰がどのウォレットを操作できるか」を管理できます。
さらに、マネージドウォレットの重要操作ではPasskeyを利用し、「その操作を本人が実行しているか」を確認します。
権限管理と本人認証を組み合わせることで、法人でのウォレット運用を設計できます。
11. 法人のウォレット操作に本人確認を組み込む
ステーブルコインを法人で利用する場合、操作画面を提供するだけでは十分ではありません。
ウォレット作成や送金など、資産に関わる操作を誰が実行したのかを確認できる仕組みも重要です。
JPYC Gatewayでは、マネージドウォレットの作成や送金、追加アドレスの作成などでPasskeyによる本人認証を利用します。
日常の操作性を保ちながら、重要なウォレット操作に本人確認を組み込めることが、JPYC GatewayにおけるPasskeyの役割です。
赤松 智彦
アステリア株式会社 / ステーブルコイン事業部
システム連携やデータ活用の知見から、企業の「財務DX」や「デジタル通貨のビジネス活用」をテーマに、日本円ステーブルコインの普及に向けた実務ノウハウや最新トレンドなどのお役立ち情報をお届けします。