万が一に備えて秘密鍵を復元|JPYC Gatewayの秘密鍵リカバリ機能
法人でステーブルコインを保有・管理する場合、「ウォレットを継続して利用できる状態をどのように確保するか」は重要な検討事項の一つです。
特にウォレットを業務で利用する場合、通常時の使いやすさだけでなく、利用しているサービスや鍵管理サーバーが利用できなくなった場合に、ウォレットへアクセスする手段についても考えておく必要があります。
JPYC Gatewayのマネージドウォレットでは、こうしたケースに備えて「鍵のリカバリ管理」機能を利用できます。
目次
- 01.秘密鍵リカバリとは?
- 02.どのように秘密鍵を復元するのか
- 03.法人利用でどのように役立つのか
- 04.秘密鍵へのアクセスは監査ログにも記録
- 05.秘密鍵を復元する際の注意点
- 06.まとめ
1. 秘密鍵リカバリとは?
JPYC Gatewayのマネージドウォレットでは、秘密鍵を1つにまとまった状態で保管するのではなく、分割したキーシェアを複数の場所で管理します。
さらに「リカバリシェア」を作成しておくことで、必要になった際にリカバリシェアから秘密鍵を復元できます。
リカバリシェアは2つに分けられ、一方を利用者のGoogleアカウントのGoogleドライブ、もう一方をJPYC Gateway側で保管します。
秘密鍵を復元する際には、この2つのリカバリシェアをブラウザ内で組み合わせます。復元された秘密鍵がJPYC Gatewayへ送信されることはありません。
重要なのは、リカバリシェアを利用した復元は、鍵管理サーバーが停止している場合でも利用できるように用意されている点です。
そのため、万が一に備える場合には、平常時にあらかじめリカバリシェアを作成しておく必要があります。
2. どのように秘密鍵を復元するのか
秘密鍵の復元は「鍵のリカバリ管理」画面から行います。
対象となるマネージドウォレットの「秘密鍵の管理」を選択し、「リカバリシェアから秘密鍵を復元」を選びます。
その後、Passkeyによる本人認証と、連携しているGoogleアカウントによるアクセス許可を行います。
認証後、GoogleドライブとJPYC Gateway側に保管されている2つのリカバリシェアがブラウザ内で組み合わされ、復元された秘密鍵が画面に表示されます。
なお、この操作を行うためには、対象ウォレットに対する「秘密鍵」権限、操作者本人のPasskey登録、対象ウォレットのリカバリシェア作成などの前提条件があります。
3. 法人利用でどのように役立つのか
企業がステーブルコインを継続的に保有する場合、ウォレットには会社の資産が保管されることになります。
そのため、「通常時に送金できること」だけではなく、「利用しているシステムに問題が発生した場合にどうするか」まで含めた運用設計が重要になります。
例えば、JPYC Gatewayの鍵管理サーバーが利用できない状況でも、事前にリカバリシェアを作成していれば、リカバリシェアから秘密鍵を復元する手段を確保できます。
また、復元した秘密鍵を利用することで、マネージドウォレットをJPYC Gateway以外のウォレットツールから直接操作することも想定されています。
日常的にはJPYC Gateway上でウォレットを管理しながら、必要な場合に秘密鍵へ到達するための手段も準備しておく。
法人でステーブルコインを管理するうえで、こうした復旧方法を事前に用意しておくことは、ウォレット運用を考える際の重要なポイントになります。
4. 秘密鍵へのアクセスは監査ログにも記録
企業でウォレットを管理する場合、「秘密鍵を復元できるか」だけでなく、「誰が秘密鍵へアクセスしたのか」を確認できることも重要です。
JPYC Gatewayでは、秘密鍵の表示やリカバリシェアからの復元操作が監査ログに記録されます。
これにより、誰が・いつ・どのウォレットの秘密鍵に到達したのかを後から確認できます。
また、秘密鍵を操作するためには、対象ウォレットへの「秘密鍵」権限とPasskeyによる本人認証が必要です。
秘密鍵へアクセスできる担当者を限定しながら、実際に行われた操作を確認するという、法人向けのウォレット管理にも活用できます。
5. 秘密鍵を復元する際の注意点
秘密鍵リカバリは、日常的に秘密鍵を取り出して利用するための機能ではありません。
秘密鍵を復元すると、分割して保管している状態ではなく、単独でウォレットを操作できる秘密鍵そのものにアクセスすることになります。
そのため、復元した秘密鍵の取り扱いには十分な注意が必要です。
JPYC Gatewayでは、鍵管理サーバーが稼働している通常時には、リカバリシェアからの復元ではなく「秘密鍵を表示」を利用することを案内しています。
リカバリシェアから復元する方法は、鍵管理サーバーが利用できない場合にも秘密鍵へアクセスするための手段として位置付けられています。
6. まとめ
法人でステーブルコインを管理する場合、日常的な送金や残高管理だけでなく、万が一の際にウォレットへアクセスする方法もあらかじめ設計しておく必要があります。
JPYC Gatewayの秘密鍵リカバリでは、マネージドウォレットのリカバリシェアを事前に作成しておくことで、鍵管理サーバーが利用できない場合でも秘密鍵を復元するための手段を確保できます。
通常時はJPYC Gateway上でウォレットを管理しながら、必要な場合に備えて復旧経路も準備しておく。
秘密鍵リカバリは、法人がステーブルコインを継続的に管理するための運用設計を支える機能の一つです。
赤松 智彦
アステリア株式会社 / ステーブルコイン事業部
システム連携やデータ活用の知見から、企業の「財務DX」や「デジタル通貨のビジネス活用」をテーマに、日本円ステーブルコインの普及に向けた実務ノウハウや最新トレンドなどのお役立ち情報をお届けします。